報酬

Prijateljstvo2009-05-15



ギター弾きはいつもの川でいつものように歌をうたってる。午後のまだ早い時間。小学校の低学年らしき子供たちの下校時間である。ギター弾きの指定席は、放水口の近くで、そのためかギターの音とか歌とかが適度にかき消され近くの民家にならない(と彼がは確かめた訳ではないがそう思っている)。彼が「どうぞこのまま」を歌っていると小学生4〜5人くらいがいつのまにか集まっていた。「おじちゃんは唄を聞いてほしいの?」。とまどうギター弾き。「いや、おじさんはここで練習してるんだよ。」「ふーん。練習は聞いててもいいものなの?。」ギター弾きは子供たちに目配せして歌い始める。「ポーニュポーニョポーニョ…」。子供たちはお互いに目を合わせ、なぜか恥ずかしそうに微笑む。そのうちリーダー格の女の子がギター弾きに合わせ歌い始める。最後には親父少女混合合唱団の出来上がり。歌が終わると女の子たちが草むらで何かを探している。「四葉はなかったけどいいよね。はっぱといっしょにあげるね。」売れないギター弾きのこれがはじめての報酬だった。